雨季真っ最中の9月のことだった。ミャンマー人の友人が仕事のために車をチャーターしてヤンゴンからネピドーに向かった。車はクラウン、乗り込んだのは友人と友人の会社のスタッフだ。ヤンゴン・マンダレー高速道路(Yangon-Mandalay Expressway)をネピドーまでの距離を半分ほど走ったあたりだった。
ミャンマーのトイレというと、和式トイレのようにしゃがみ、終わったら目の前にあるバケツから水を汲んで手でおしりをきれいに洗う。これが一般的なミャンマーのトイレだが、ヤンゴンなどでの都会では洋式トイレが一般的になってきた。その洋式トイレに必ずあるのがハンドシャワーだ。
ある日の夕方、アウンミンガラー長距離バスターミナルに向かうためGrabでタクシーを予約した。5分ほどでタクシーが到着して乗り込んで行き先を告げた。すると、
「Grabをキャンセルしてもらえますか?」
えーーー、乗車拒否? それとも私の聞き間違い? ここは冷静に事情を聞くことにした。
ミャンマーにはトラックに乗って村を巡りながら演奏する楽団があるというのは昔から聞いていた。ぜひ見に行きたいと思いながら初めて見たのが3年前の2015年4月、古くからの友人、石谷さんと兵頭さんが一緒だった。我々が訪れた楽団は、バガン近くのチャウッパダウンというの町を本拠地にするチョーミン楽団だ。我々3人とも、彼らのステージを見てすぐに魅了された。映像作家でもある石谷さんが映画製作を決心した瞬間だった。