10匹目のネズミ
ここのところ、毎晩ネズミの音に悩まされていた。私が住んでいる4階建てアパートの4階の部屋は、毎晩天井裏がうるさい。ときには猫かと思うようなドスンドスンといった大きな音も聞こえる。また、深夜には台所にもよくやってきて、石鹸などをかじっていく。
以前、殺鼠剤を使ったことがある。効果があったが、後始末が大変だった。とても臭うのだ。粘着式のネズミ取りも使ったことがあるが、一度捕まえると二度めはなかなかかからなかった。そこで、昔からあるカゴ式のネズミ取りだ。
カゴを買ってきたその日の夜、屋根裏に仕掛けると一時間ほどで捕まった。まだ子供だろうか、チューチューと可愛らしい声で小さなネズミがないている。
さてどうするか。日本ならカゴごと水に沈めるという方法が多いらしいが、ここミャンマーじゃ動物の殺生は忌み嫌われている。蚊を叩き潰すのもいやがる人が多いくらいだ。ということで、1階の雑貨屋の息子(といってもかなり年だが)にも相談して、徒歩5分位のところにあるゴミ収集所に持っていくことにした。
ネズミ取りの入り口を開けて外に出るように促すと、驚いたようにぴょんと飛び出て闇の中に消えた。ここは生ゴミも集まるので、ネズミにとっても楽園かもしれない。
帰ったてまたネズミ取りを仕掛けた。翌日カゴの中を見てみるとカゴの中にネズミがいた。今度はちょっと大きい。そしてその翌日もまた翌日も、結局9日連続で毎晩ゴミ収集所通いになってしまった。その後しばらくネズミ取りには何もかからなくなってしまった。屋根裏も静かだ。
しかし、2週間ほど経った日、とても大きなネズミがかかった。体長20cmほど、しっぽの先端まで図ると40cmくらいはありそうだ。もしかして、ゴミ収集所で大きくなったネズミが帰ってきたのかもしれない。
10匹目の大きなネズミが入ったカゴを手に下げて、またゴミ収集所へ向かった。
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