ムドン近郊のウィンセントーヤにある巨大寝釈迦像(涅槃仏)ジナトゥカ ヤンアウン チャンダ
モーラミャインを出発して30分ほど経ったころだ。スマホでGoogleマップを開いてムドンのあたりを拡大した。もしかしてこれ? 西南西に頭を向けたそれは、赤茶色の袈裟をまとった横たわっていた。拡大すると画面からはみ出てしまうくらい大きかった。
ミャンマーには巨大な仏像がたくさんある。20年ほど前にモンユワのシュエターリャウンの寝釈迦像を見に行ったときだ。ここの111mある寝釈迦像の大きさにも驚いたのだが、モンユワは世界第2の寝釈迦像で世界一はムドンにある言われた。それから20年、世界一の寝釈迦像はもうすぐそこだった。
ムドンの北、ウィンセントーヤ(Win Sein Taw Ya)にあるジナトゥカ ヤンアウン チャンダ(Zinathuka Yan Aung Chantha)(注1)の参道には、身長2.5mほどの数百もの托鉢僧の列が続いていた。托鉢僧の列は途中で右に曲がっていたが、そのまま真っ直ぐ歩くと寝釈迦像の頭が見えてきた。でかい! でかすぎる。頭の幅(寝ているから高さ?)だけでも75フィート(23m)ある。鎌倉の大仏の高さが13.35mだからどれだけ大きいことか。全長は600フィート(183m)、近づくと大きさに圧倒される。1990年代始めから建立が始まり、今でも工事は続いている。まだ完成していないのに、ところどころ老朽化して表面のパネルが剥落して穴が空いているところもある。
この寝釈迦像のすぐ対面には、同じくらいの大きさの構造物があった。頭の形だけは完成していたが、体は鉄筋と柱だけだ。もう一体の寝釈迦像を作ろうとしているのだ。ただ、工事が長い間ストップしているのか、既に廃墟のような雰囲気だ。
お釈迦様の体内に入ることにした。ミャンマー人も外国人も入場料無料だ。お坊さんのいる入り口では、タイルお布施コーナーもあった。お布施が建立に使うタイルになるというわけだ。もちろん、何も払わなくてもいい。私は何も払わなかった。
そこから奥に入ると、お釈迦様の物語ジャータカのジオラマが広がっていた。各説話を再現した場面毎に部屋(コーナー)に分かれて、それがずっと続いている。地獄の場面がいくつかあり、かなり強烈だ。ただ、ジオラマといっても細部にこだわった作りではないので、「ゆるコワ」な感じがなんとも味があって楽しめる。
地獄以外にも見どころはある。特に、お釈迦様を誘惑するシーンがなかなか見応えがあった。おっぱいを丸出しにした女性たちが若きお釈迦様に迫る。これは、地獄以上に刺激的なジオラマだ。でも、ちっちゃな子はこのシーンを見ても何も感じないみたいで、ここに置いてあったパッタラー(木琴のような楽器)のほうが興味を引くようだった。
こうしたジオラマが1階から4階までずっと続いていた。さすがに途中で飽きてくる。ジオラマ部屋は全部で100以上はあるというが、まだ未完成だ。工事中のエリアもたくさんあった。この寝釈迦像自体の工事が20年以上も続いていて、まだまだ先は長そうだ。永遠の未完成なのかもしれない。
体内から外に出るため、お坊さんたちがいる入り口に戻った。入るときは何も払わずに入ったが、今度は5,000チャット(約420円)を差し出した。すると、タイルをお布施したという領収書をちゃんと出してくれた。ミャンマーの有名なパゴダは外国人は有料というところが多い。特に、シュエダゴンパゴダは8ドルもとるので私は敬遠している。入場料無料だったら毎回8ドルくらいのお布施はするのに。いや、5,000チャットくらいかな。いやいや、毎回だと3,000チャットくらいかもしれない。いずれにしてもウィンセントーヤの寝釈迦像のように、入場料無料だと気持ちよくお布施をすることができるだろう。
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カテゴリ寝釈迦像(寝釈迦仏)
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名称Zinathuka Yan Aung Chan Tha
ジナトゥカ ヤンアウン チャンダ -
住所Win Sein Taw Ya, Mudon, Mon State
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入場料無料
注1)インターネット上では、ウィンセントーヤ寝釈迦像(涅槃仏)、英語では Win Sein Taw Ya Reclining Buddha という表記が多い。しかし、正確にはウィンセントーヤというのは場所の名前で、仏像自体の名前はジナトゥカ ヤンアウン チャンダ(Zinathuka Yan Aung Chan Tha)という名前だ。Youtubeにアップされているミャンマー国営放送MRTV制作の動画が参考になる。
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