ミャンマーの火葬場では遺骨は廃棄
先日、ミャンマー人の友人のお父さんが亡くなってヤンゴンの火葬場イェウェ(Yay Way)に行ってきた。ヤンゴンには火葬場が全部で4ヶ所あり、ここイェウェは最も大きな火葬場だ。近くには長距離バスターミナルや日本人墓地などがあり、ダウンタウンから車で1時間以上かかる。
友人のお父さんとは何度か会ったことがある。個人的にもいろいろとお世話ななった方だ。具合が悪いなどの話は全く聞いていなかったが、突然の心筋梗塞で帰らぬ人となった。火葬場には故人との最後のお別れ(告別式)を行うオープンスペースの部屋がいくつか用意されていている。そのひとつで告別式が行われた。花が敷き詰められた台の上で、友人のお父さんは本当に寝ているかのようだった。
仏教が盛んなミャンマーだが、火葬場では宗教色はほとんどない。告別式も簡素なもので、僧侶もいないし喪主の挨拶などのようなものもない。故人に縁のあった人たちが故人に最後のお別れを言いに来るだけだ。
ところで、ミャンマーの火葬場について以前から疑問に思っていたことがあった。遺骨の問題だ。ミャンマーの仏教徒は墓を作らないので遺骨は必要ない。では、火葬が終わった遺骨や遺灰はどうしているのだろうか。受付にいた係員に聞いてみた。
係員曰く、火葬の後に遺骨を持って帰る人もいることはいるが、全体の1割にも満たないという。遺骨や遺灰は火葬場の中に一時保管し、その後に火葬場の近くにある処理場に持っていく。処理場といっても、空き地の土中にそのまま埋めるだ。特に儀式も何も行わないという。文字通り廃棄処理だ。
火葬場は公営なので、仏教徒でなくても誰でも火葬を行うことができる。しかし、キリスト教やイスラム教では土葬が一般的なので、結局火葬場に来るのは仏教徒が多いという。
ちなみに、火葬の料金は4,000チャット(約280円)で、告別式のための部屋を借りると1時間で20,000チャット(約14,10円)だ。1日に40体ほどの火葬を行うという。
ミャンマーではインドやタイと同じように輪廻転生が信じられている。人は死ぬと次に生まれ変わる。人の本質は魂で、体は単なる入れ物だ。
10年前に父親を亡くしたミャンマー人が話していた。お父さんは今、世界のどこかで10歳の子供として生きている。
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