ンガタラウッ(イリッシュ, ヒルサ)の塩焼きはサバの塩焼きを超えるか?
以前のブログ記事で、ミャンマーの高級魚ンガタラウッ(ငါးသလောက်)について書いた。このときの料理方法はミャンマーで一般的な煮魚だったが、サバの味噌煮に似てなかなかうまかった。しかし、日本人としては魚はやはり刺し身か焼き魚だ。さすがにミャンマーの魚で刺し身はやばそうなので、焼き魚に挑戦することにした。
ただ、ヤンゴンで買ったガスコンロには焼き魚用のオーブンなど付いていない。買ったのがシングルコンロだからそもそも付いているわけがないのだが。
しかたがないので、フライパンで挑戦。3枚におろしたンガタラウッを油をちょっと垂らしたフライパンにそっと載せ、待つこと7分ばかり。フライパンでの焼き魚は初めてだったが、なかなかうまくいった。
出来たてを一口。おお、うまーーーー。脂がのったサバの塩焼きにニシンの風味をプラスしたような味であった。ヤンゴンの日本食レストランでサバの塩焼きを食べるよりうまかった。
しかし、口の中がちくちくする。小骨が異常に多いのだ。口の中で刺さらないようにゆっくりと顎を上下し、小骨は少しずつ歯で噛み砕くか口からそっと出すかしないといけない。おかげで、いつも早めしの私が食べ終わるのに40分以上かかった。
これは健康にはいいかもしれないが、毎回これはきつい。それに、注意深く食べていたのに最後に小骨が喉の奥に刺さりそうになってちょっと大変だった。
それではということで、対策を考えることにした。それが、骨切りだ。日本でもニシン科の魚を塩焼きにするとき骨切りを施すことがあるらしい。
前回は3枚におろしたが、今回はまるまる1尾をそのまま焼くことにした。鱗を取り塩をふって30分くらい置いたンガタラウッ、中心の背骨に達するまでスッと包丁を入れる。ザリッ、ザリッ、ザリッと、たくさんの小骨が切れていく感触が包丁から伝わってくる。シェーバーで髭がじジョリジョリ剃れていくような爽快な感覚だ。とりあえず、2cmほどの間隔で切っていった。
少々みっともない姿になったンガタラウッをバラけないようそっとフライパンにおろした。今回は1尾まるまるなので、火の通りを心配してフライパンの上に蓋をすることにした。いつも使っている蓋だと、魚がぶつかってうまく閉まらないので、鍋をその上にかぶせることにした。最初に片側6分、もう一方を4分ほど焼いて完成だ。
まず一口。骨は多少気になるが、注意深く骨を噛みほぐせば、小骨も全て食べられる。包丁を入れる間隔を2cmではなく、1cmほどにしたほうが食べやすかっただろう。
肝心な味だ。サバとニシンを合わせたような風味は前回の3枚におろしたときと同じだったが、前回よりもちょっとジューシーさに欠ける。細かく包丁の刃を入れたし、蓋もしたので、前回より火の通りが良すぎたからだろう。または、身を切ったために脂が流れ出たかもしれない。それとも、魚自体、脂ののり具合が違っていたのかも。
ということで、ンガタラウッの塩焼きはうまく焼けばサバの塩焼きを十分に超えるくらいのうまさがあった。あとは小骨の処理だけだ。味重視だとそのまま焼くのがよく、食べやすさ重視だと細かく切って焼くのがいいようだ。
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