ヤンゴンのふるカフェ、オールドエイン(Old Eain Cafe)
ヤンゴンに通称ミンマナインと呼ばれる、古いアパートが立ち並ぶ一角がある。元公務員住宅で、一番古いアパートは1954年に建てられたという。私もここに住んでいるのだが、最近ミンマナインの中に小さなカフェができた。イミグレーションの帰り(そういえば、ヤクルトおばさんと出会ったのもイミグレーションの帰りだった)に発見して立ち寄ってみた。
名前はオールドエインカフェ(Old Eain Cafe)。エインはミャンマー語(ビルマ語)で「家」という意味なので、直訳すると「古い家」という名の店だ。ドアを開けると、店内は二人がけの小さなテーブルが3組だけという小さなカフェだった。
テーブルはよく見ると、古いミシンを改造したものだ。壁には古いナショナルのラジオ、店の片隅には古い子供用の三輪車。昔懐かしいビルマの雰囲気だった。私が初めてミャンマーに来たのは1987年、頭の中に閉まってあったその時の映像が蘇ったかのようだった。
手書きのドリンクメニューを見て、タニャ入りのホットコーヒーを頼んだ。出てきたコーヒーの上に裏返しのソーサーが乗っていた。そういえば、昔はコーヒーや紅茶カップにハエがとまらないよう、よくこうしていたものだ。タニャはヤシの樹液から作る砂糖で、日本でいえば黒砂糖のようなものだ。普通の砂糖とは違い、素朴でくどくない甘みだ。
店内の棚には Tree Food の商品がたくさん並べてあった。Tree Food はお土産用のタニャで有名なブランドで、ヤンゴンで一番有名なスーパー、シティーマートや空港のお土産ショップなどで売っている。初めて見たときは、こんなシンプルで洒落たパッケージの商品がミャンマーでもできたんだと、感心したものだ。日本に一時帰国したときにも友人へのお土産としていくつも買った。
Tree Foodのことを店員に聞くと、何とここのカフェのオーナーは Tree Food のオーナーというではないか。そして、カフェの奥は Tree Food の事務所にもなっているという。というような話をしていたら、オーナーが出てきた。
若いミャンマー女性、チョーさんがオーナーだ。チョーさんによると、カフェは7月にオープンしたのだが、元々は事務所だけの予定だったという。しかし、スペースが余ったのでカフェもオープンすることとなった。
それにしても、長居をしたくなる何ともいい雰囲気のカフェだ。ミシンテーブルもナショナルラジオも三輪車も、昔風を演出するためといったわざとらしさはなく、昔からずっとそこに置かれているといった風情だ。
ナショナルのラジオからノラ・ジョーンズをソフトにしたような歌声が流れてきた。チョーさんに聞くと、Reneé Dominique というフィリピンの歌手。タニャ入りコーヒーにぴったりの声だ。でも、本当にナショナルのラジオから音が? と思ってラジオの裏を覗くと、小さなJBLのスピーカーがあった。やっぱりと、ちょっとがっかりしてラジオを元の位置に戻してから、もしやと思った。
今度はラジオを引っ張り出して裏板を見た。おおおおおーーー、MADE IN BURMA と書かれているではないか。正真正銘ビルマで生産されたナショナルのラジオ、モデル名はGU-382だ。そういや、その昔「4プロ」と呼ばれていた対ビルマのODAプロジェクトがあった。マツダ、日野、コマツ、そして松下が協力し、ビルマの工場で各メーカーの製品を1962年から1988年にかけて生産していたのだ。1990年代にはよくマツダのミニカーや日野の古いバスをよく見たものだ。
そして、今回松下だ。今までミャンマーで Made in Burma の松下製品を見たことがなかったが、オールドエインでついに見つけてしまった。松下の工場ではラジオだけでなく、テレビやエアコンや洗濯機などいろんな家庭用電化製品を生産していたらしいから、またどこかで出会うかもしれない。
というように、大発見もあったオールドエイン。お気に入りカフェの第一候補となってしまった。でもどうしよう、ブログに載せたのがきっかけで人気店になったりしたら、いつ行っても満席で入れないカフェになってしまう・・・
いやいや、そんな心配をするよりブログをアップする回数を増やすほうが先だ。
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カテゴリーカフェ
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店名Old Eain Cafe
オールドエイン -
住所Room 5, Building 5, U Wisara Housing, MinMaNaing Ward, Dagon Township, Yangon
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電話09 954 280501
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営業時間9:30 - 16:00
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