セインタロンを食べると不幸?

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毎日毎日コロナコロナのミャンマーだったが、最近やっと元の姿を取り戻しつつある。それに呼応するように季節は巡り、雨季に入ってきた。この暑季から雨季にかけてミャンマーの市場に姿を現すのがマンゴーだ。

日本にいたころはマンゴーの種類なんてほとんど知らなかったし、どれを食べても(高いのでたまーにしか食べられなかったが)美味いと思っていた。

マンゴーの種類にいろいろあるというのを知ったのはミャンマーに来てからだった。何種類か食べてみたが、セインタロン(စိန်တလုံး)と呼ばれているマンゴーが一番。上品な甘さと気品のある香りになめらかな舌触り、別格だ。

セインタロンが出始めるのは4月中旬、ちょうどティンジャン(ダジャン、水かけ祭り)が終わるころだ。今年も出始めは高くて1個1000チャット(約80円)ほどした。5月も中旬になるとだいぶ安くなる。小さいものだと400チャット(約30円)ほどで買える。昨日買った小ぶりなセインタロンも1個400チャットだった。

去年あたりだとセインタロンの安いもので500チャット(約40円)程度だと記憶していたが、今年は去年より安くなっている。インフレで毎年物価が上がっているミャンマーでは珍しい現象だ。

どうも、輸出が滞っているのでセインタロンが国内でだぶついているらしい。ここ数年、中国やシンガポールでセインタロンが人気で輸出が増えていたが、今年はコロナの影響で輸出できなくなってしまったのだ。

セインタロンという名前だが、セインがダイヤモンドでタロンが1個という意味だ。直訳すると「ダイヤモンド1個」になる。なぜなら、セインタロンはあまりにも美味しいので、セインタロン1個はダイヤモンド1個と同等の価値がある、というのがミャンマー人の説明だ。

というのを私も信じていた。ところが、どうも違うらしい。

マンダレーの南、チャウセの町に近い村にセインさんという農民がいた。その彼が持つマンゴーの木になる実がとても美味しいと噂になった。それが1983〜1984年のころというので比較的最近だ。

その噂のマンゴーは、1個でも食べると他のマンゴーとの違いがすぐに分かるというので付いた名前がセインタロンだという。すっかり有名になったセインさんのマンゴーだが、その木の子孫がミャンマー各地に広がったという。

また、子孫の多くは挿し木や接ぎ木で増やしたというので、セインさんのマンゴーのクローンになる。まるでソメイヨシノのようだ。

今年は無理だが、来年のマンゴーの季節にはセインさんの初代セインタロンの木を見に行ってみたい。

ところで、藤原新也が1980年代に書いた全東洋街道という本がある。その中に、「チベットの青い空を見ることは不幸だ」というような一節がある。チベットの深くて透明な空を見ると、他のいかなる土地で空を見ても濁った空にしか見えなくなる。これは一つの不幸だというのだ。

私もチベットの空には大いに納得である。ここで、チベットの空にもうひとつ加えたい。

セインタロンを食べた者は不幸だ。セインタロン以外のマンゴーが食べられなくなるからだ。

 

参考サイト:မြန်မာ့စိန်တလုံး | Commerce Journal
https://www.commercejournal.com.mm/coverstory/16736

 

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2020年11月24日(火)

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