銀行のビニール袋と1,000チャット札の謎
10月にアパートの更新をした。ミャンマーでは家賃は1年前払いが普通。私が借りているアパートは月に35万チャット(約3万円)なので、1年分で420万チャット(約36万円)になる。さすがにこれだけの手持ちの現金はないので、銀行でおろした。銀行で渡されたのがずっしりと重いビニール袋だった。
ミャンマーで現在一般的に流通している紙幣には、50チャット、100チャット、200チャット、500チャット、1,000チャット、5000チャット、10,000チャットがある。現在のチャットのレートは1円=11.8チャットなので、ざっくりいえば1/10にすればいい。1,000札は100円札、10,000札は1,000円札だ。
銀行のビニール袋に入っていたのは全て1,000チャット札だった。計420万チャットなので、全部で4,200枚の1,000チャット札が入っていた。だいぶ前だが、銀行で初めて大量の1,000チャット札を渡されたとき、外国人の私に嫌がらせをしているのではと思ったほどだ。けど、違った。私だけでなく、誰でも高額の引き下ろしは1,000チャット札を渡していた。しかし、ATMで下ろすと5,000チャット札や10,000チャット札が多い。なぜ窓口だとわざわざ大量の小額紙幣で渡しているんだろうと不思議に思ってた。
さて、4,200枚の1,000チャット札が入ったビニール袋を持った私のところに大家がやってきた。大家は退役軍人で、今は航空会社で働いている。冗談の好きな気取らない人だ。
「1,000チャット札ばかりですいません」と、私。
「いやいや、助かるよ。1,000チャット札だと調べなくてもいいから」
「調べなくていい?」
「5,000や10,000チャット札は偽札が多いけど、1,000チャット札は全て本物だから」
なるほど、5,000チャットや10,000チャットだと偽札があるので1枚ずつチェックが必要だけど、10,000チャットだとノーチェックでいいのだ。ビニール袋に入った1,000チャット札は100枚一組で輪ゴムと帯封でまとめられている。それが42束で420万チャットだ。42だけを数えればいい。
いち、にい、さん、大家と一緒に札束を数えていく。まるで映画のワンシーンだ。銀行強盗に成功して札束を山分け、そんな気分だった。
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