ナショナルの電気炊飯器を直した、電器修理の達人
2週間前だった。部屋の掃除をしていたとき、掃除機のヘッドが炊飯器にぶつかってコンセントが外れた。すぐにコンセントに入れなおした瞬間だった。ボッ!
あちゃー、やってしまった。炊飯器は8年前に日本で買ったもの。パナソニックになる前のナショナル製だ。それを220Vのコンセントに繋いでしまったのだ。
日本の電圧は100Vでミャンマーは220〜240V(実際にはもっと変動が大きい)、家電類はそのまま繋げないものが多い。私のナショナルの炊飯器もそのままだとミャンマーでは使えないので、変圧器(トランス)を使っている。Made in Myanmarのこのトランスは2KW用なのでかなり重く、8kgもある。たしか、1万円以上で買ったかと思う。
トランスに繋がったコンセントに炊飯器を繋いでいるのだが、このコンセントのすぐ近くに220Vそのままのコンセントがあり、間違って繋いでしまったのだった。
この日から2週間、私の頭から炊飯器のことが離れなくなった。まず、レーダンの電気修理店に持って行ったが、3日後に修理不可となって戻ってきた。10年ほど前だと、ミャンマーに日本の中古家電がかなり入ってきていたのでこうした修理もけっこうあったという。でも、最近は日本の中古家電を使う人が少なくなったので、パーツの入手自体が難しいらしい。
次に、パナソニックのショールームに行った。パナソニックは最近ミャンマーでも力を入れているせいか、けっこう立派なショールームだった。早速スタッフに聞いてみたが、日本から持ってきた製品は修理できないとのこと。ちなみに、このショールームで売っている炊飯器を見ると、5万円台のIH炊飯器、1万円ちょっとのマイコン炊飯器、後は数千円の安いやつだった。
5万円は手が出ないので、1万円ちょっとのマイコン炊飯器を買おうかとちょっと心がぐらついた。でも、この炊飯器はIHではない。やはり8年前から使っている2万5千円ほどしたIH炊飯器(変圧器をプラスすると4万円近い)を何とかしようと思い直した。
そうだ、こういうときは情報通のゾーミンさんだ。ということで、アパートの1階にある雑貨屋の息子(いい年のおじさん)である彼にヤンゴン修理屋情報を聞いた。彼曰く、ダウンタウンの29番通りにその店はあるという。名前はわからない。
29番通りに入ってすぐに、インド系の青年に声をかけられた。私の左手にある、半透明のゴミ袋に入った炊飯器を目ざとく見つけたみたいだった。彼の店(といっても露店)で事情を説明すると、ここでは修理できないと言われた。この先にある、ネーミョーという店に行けという。ちなみに、スーレーパゴダ西側にあるこの辺りの通りは通称インド人街と呼ばれていて、インド系の人たちが多い。
「この先」を注意深く見ながらネーミョーの店を探すがわからない。ネーミョーと書かれた看板が全然見あたらないのだ。水用モーター専門店で店番をしていたひまそうなインド系の青年に聞くと、
「あそこのビルとビルの間にあるよ」
と、私が通り過ぎた場所を指さした。そこに戻ると、看板など何もなく小さなテーブルを一つ置いているだけの露店だった。
真新しい青いシャツを着たインド系の店長、いやオーナーがネーミョーさんだった。彼に壊れた経緯を説明する。
「だいじょうぶだ。5時にはできる」
と、自信満々の答え。まだ3時半だったので、近くをぶらつくことにした。
5時ちょっと過ぎに店に戻ると本当に修理が終わっていた。ネーミョーさんがテーブルに置かれた100V電源に繋ぐと、ピピッと音がして液晶に表示が出た。おおおおお、直っている。感謝の気持ちを込めて修理代の35,000チャット(約2,900円)を渡した。彼の話では、私と同じように間違って電圧の違うコンセントにコードを繋いでしまう人が少なくないという。日本人や韓国人などの外国人もよく店に修理に来るらしい。
それにしても大したものだ。サービスマニュアルもない回路図もない製品をまず分解、壊れた部品を見つけ、同等の部品を探し、取り替え、組み立てる。これを1時間ちょっとでやるのだ。私は彼を電器修理のマイスターと呼ぶことにした。
実は半年ほど前、電気掃除機の吸引力が急に弱くなったので自分で直そうとした。でも、分解しても故障原因がわからず、挙句の果てに本当に壊してしまった。私がマイスターに弟子入りをするのは絶対に無理だろう。
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カテゴリー電器修理
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名称Ko Naymyo
コ・ネーミョー(人名) -
住所Between 192-194, No. 29 St., Pabedan Township, Yangon
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電話09-31288017, 09-786786129, 09-786123032
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営業時間11:30頃 - 17:00
11:30頃 - 14:00(日曜日のみ) -
定休日基本的には無休
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