ミャンマー初のヤンゴン証券取引所
昨年末ミャンマーに初めてできたヤンゴン証券取引所に行ってきた。ヤンゴンのランドマークであるスーレーパゴダから南に歩いて約5分、左手に白亜の何たらと名前が付きそうな真っ白な建物が見えてきた。近くに寄ると若干薄汚れてきていたがそれでも十分美しいコロニアル風の建物だ。100年前の往時、ヤンゴンのダウンタウンの建物はみなこんなふうだったかもしれない。この白いビルは旧中央銀行の建物を改装したそうだ。
今までミャンマーには証券取引所が存在しなかったが、大和証券との共同で去年の12月9日にヤンゴン証券取引所がやオープンした。そして今年2016年3月25日にFMIがミャンマー初の上場企業として株式の取引をスタートして、実際に稼働し始めた。
入り口で記帳を済まして中に入る。天井が高く広々としたフロアだが、人影はまばらでがらんとしていた。正面には真新しい電光表示板が数字を表し、その前に暇そうな数人の男たちが掲示板を見ながら話をしていた。
3月25日にFMI(First Myanmar Investment)、5月20日にMTSH(Myanmar Thilawa SEZ Holdings Public)(日本が中心になって開発している大規模工業団地)が取引を開始した。今のところ上場しているのはこの2社だけだ。今年中に全6社上場する予定らしい。ミャンマー人なら、Kanboza SCなどの証券会社を通して誰でも株式を売買できるが、外国人は今のところできない。
ミャンマー初めての証券取引所なので、さぞかし賑わっているかと思っていたが肩透かしを食った。実際の取引も低調なようだ。ヤンゴン証券取引所のWEBサイトを見ても、勢い良く株価が上がったのは最初だけ、すぐに尻すぼみになった。
ちなみにFMIは、3月25日の公開価格が26,000Ks、それが3日後には41,000Ksに高騰したが、その後はジリ貧になり現在20,500Ksだ。MTSHは5月20日の公開価格が40,000Ks、こちらも3日後には70,000Ksに高騰したが、同じようにその後はジリ貧で現在50,000Ksだ。
ミャンマーでは、屋台でモヒンガを売っているおばちゃんでも金(ゴールド)の価格に詳しいし、小金がたまると金を買う。ミャンマーでは以前廃貨(注)があったせいか金に人気があり、一種の投資対象にもなっている。また、土地の価格暴騰もいい話のネタになっている。それらに比べて、株式についての知名度はほとんどない。
モヒンガ屋のおばちゃんが株の話題で会話が盛り上がるのはかなり先になりそうだ。
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名称Yangon Stock Exchange Joint-Venture Company Limited (YSX)
ヤンゴン証券取引所 -
住所24-26 Sule Pagoda Road, Kyauktada Township, Yangon
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営業時間10:00 - 24:00
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WEBサイト
注)1964年、1985年、1987年とミャンマーでは廃貨が3度行われた。特定の高額紙幣がある日突然使えなくなったのだ。当時を知る人は貨幣よりも金を信用する人が多い。
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