今までミャンマーでは旅行者や出張者などの短期滞在者用のSIMカードというのは売られてなかった。日本と違い、ミャンマーでは一般に売られている1,500チャットのSIMカードが外国人でも簡単に買えるからだ。それでも、モバイルショップに行き、SIMカードを買いプリペイドカードも買ってトップアップしてという手間をかけるのが苦手な人もいる。
MPTとTelenorから発売
そこで発売されたのが外国人旅行者用のSIMカード、”Tourist SIM” だ。MPTの Tourist SIM は10,000チャット、Telenorの Tourist SIM は12,000チャットだ。
通信会社 | 料金 | 有効期間 | データ通信容量 | 通話クレジット |
---|---|---|---|---|
MPT | 10,000Ks | 10日間 | 1.5GB | 5,000Ks |
Telenor | 12,000Ks | 14日間 | 1.0GB | 5,000Ks |
ここに書かれている料金有効期間は、これを過ぎると一切使えなくなるというわけではない。最初から入っていたデータ通信のデータ量と通話クレジットがゼロになるというだけで、追加でプリペイドカードを買ってトップアップをすれば普通のSIMカードと同じように使える。また、有効期間内にデータも通話クレジットも使いきった場合も、同じくプリペイドカードを買ってトップアップすれば料金有効期間を超えても普通のSIMカードとしてそのまま使える。
もし、有効期間が過ぎて何もしなければ、MPTの場合90日後にSIMカード自体の使用有効期間が切れて使えなくなる。切れた後にプリペイドカードでトップアップはできなくなる。Telenorの場合はこの使用有効期間が30日間だ。この使用有効期間内でトップアップすれば引き続き同じSIMが使えるようになる。
この Tourist SIM、MPTもTelenorもヤンゴンのミンガラドン空港内で売っているので、遅い到着でなければヤンゴンに到着したらすぐに購入できる。また、主だったホテルや特約モバイルショップでも売っている。
どれくらい使える?
これらのSIMに入っている5,000Kyat分の通話クレジットはどれくらい使えるだろうか。MPTの場合、日本へは200Kyat/分でミャンマー国内は23Kyat/分だ。ということは、日本へは25分、国内は217分通話できる。Telenorの場合、日本へは400Kyat/分で国内は25Kyat/分だ。ということは、日本へは12分、国内は200分通話できる。
データ通信についてはMPTの場合、10000Ks - 5,000Ks = 5000Ksがデータ通信料という計算になるが、SIM代1,500Ksを差し引くと3,500Ksがデータ通信料ということになる。3,500Ksで1.5GBだから、2.3Ks/MBという計算になり、これはかなり安い。Telenorの場合を計算すると5.5Ks/MBになる。通常の6Ks/MBと比較して若干安いくらいだ。
データ通信をパソコンなどではなくスマホだけで使用するのなら、10日間1.5GB程度あれば足りるかと思う。もし初期の容量をオーバーした場合は通話クレジットのほうから充当される。6Ks/MBだ。通話を一切せずにデータ通信のみ5,000Ksを使った場合、833MBという計算になる。
どっちがいい?
MPTのほうが有効期間がちょっと短いが、料金は若干安いしデータ通信の量が多い。つながりやすさもMPTのほうがいいので、一般の旅行者や出張者にはMPTのほうがおすすめだ。でも、ネット中毒者にはTelenorの普通のSIMという選択肢もある。Super Owl という夜11時から朝7痔まで 1Ks/MB という格安データ通信プランがあるからだ。深夜でもいいからネットをガンガン使いたい人にはデータ通信専用にTelenorのSIMを1,500Ksで購入し、別途5000KsをトップアップしてSuper Owl の設定をすれば深夜・早朝限定で5GBを1ヶ月間有効で使える。
去年まで世界で最も携帯電話の通信状況が悪かった国のひとつだったミャンマー、1年でずっと便利になった。ミャンマーに旅行や出張で来る方、ぜひSIMフリー携帯を持参してミャンマーで使ってほしい。
そういえば1ヶ月前、日本に一時帰国したときに2,000円の旅行者用SIMカードを購入した。2,000円で1週間有効、データ通信は1日200MBまでは高速通信、通話は不可というSIMカードだった。いつの間にか、SIMカードに関しては日本よりミャンマーのほうが旅行者にとってずっと優しい国になった。日本もがんばってほしい。
注)2015年12月28日現在の円チャットレート、1円=10.90Ks(チャット)
(写真・文:後藤 修身)