昨年11月、エンヤン(Enjoy Yangonの略)開始のファーストステップとなるBlogがオープン。喜びに沸くも束の間、サイト開設を目前にして、「やっぱりこうしたい!」というメンバーの鶴の一声で、まさかの方向転換。また白紙から構想を練り直し…、ついに2015年1月、平均ヤンゴン滞在歴約10年の面々が、本当に「いいと思ったもの」「面白いと思ったもの」だけを集めたヤンゴン情報サイト「Enjoy Yangon」がスタート!
エンヤンにとって記念すべき第1年目となる2015年は、果たしてどんな年になるのか? 「よく当たる」と地元民に評判のミャンマー人占い師・サヤー・カウン・ゾー・ヘイ氏に、その行く末を聞いてみた。
「サヤー(注1)が店にやって来る30分~1時間前に店に来ないと、長時間待つことになるよ」
予約の電話口で占い師の弟子に脅され、ヤンゴンはサンチャウンのコータヂィ・パヤー(パヤー=パゴダ、寺)へ朝7:45に集合。パヤーの敷地内に入って間もなく、目指す占い師がいる館は見つかった。入り口で弟子がせっせと開店準備に精を出すほかは、館にはまだ誰もいない。時間はちょうど8時。どうやら一番乗りで到着したようだ。
眠い目をこすりながら待つこと1時間。ようやくサヤーと思われる人物がやって来た。エンヤンスタッフの後ろには、すでに順番待ちのミャンマー人客の列ができ始めている。人気があるとのウワサは本当のようだ。
神妙な面持ちで入り口に祭られているナッ神(注2)像に祈りをささげ始めたサヤー。目はどこか遠くを見ていて、なんだか怖い。そして水にひたした木の枝で、店や自分の頭に水を振り掛け、お清めのような儀式をした後、静かに奥の部屋に入って行った。
しばらくして名前が呼ばれ、妙にビクビクしながら部屋に入ると、先ほどとは雰囲気が一変。
「なるほど! サイトの行く末が知りたいんだね!」
そこには、少年のように目を輝かせたサヤーが待っていた。
こうして、表情豊かに大きなジェスチャーを交えてのサヤーの運勢鑑定が始まった。
占いの結果で、国の政策が決まることがあると言われるほど占いがさかんな国・ミャンマー。ここでは、生まれた曜日をもとに個人の運勢を鑑定するのが一般的な方法だ。その曜日によって子供の名前を考える親もいるほど、「何曜日に生まれたか」という情報は、この国の人々にとって必須の事項だ。しかも水曜日については、午前と午後を分けて考え、1週間を8曜日と捉えて未来を読む。しかし彼の場合、通常のそれとは異なり、「僕は水曜日を、午前と午後に分けて考えることはしないよ。だって、水曜日はひとつの曜日だよね。どう考えても、ふたつに別れてないからね。」と、8曜日制は採用せず。曜日自体にもこだわらずに、まずは手の平を見て、次はタロットカードを引いて…と、いろいろな種類の占いを複合的に使いながら占いは進んでいった。
「アッヤーン・カウンデー!!」
「アッヤーン・カウンデー(めちゃくちゃいいよ)!! これはヒットするよ!」
のっけから景気の良い叫び声が室内にこだまし、朝早くからの取材で眠気と戦っていたエンヤンスタッフの目もパッチリ開いた。
「2月から4月までの運気がすごく良いよ。1月はまだ勢いが弱いけど、踏ん張りどころだから頑張って! そのうち、ひとつがふたつに広がっていくような仕事が出てくるかも。9月~12月にはお金が入ってくる」と、サヤー。もしや、最初からサイトが大ブレイク!? と、否応なしに高まるスタッフの期待。しかし、そうは問屋が卸さなかった。
「でも、5月~6月は間違いが起こりやすいから慎重に。7月~8月は年齢や役職が下の人とのトラブルに要注意だ」
アッヤーン・カウンデーな運勢でも、下り坂はあるようだ。しかし、待てよ? エンヤンスタッフに役職の上下関係もない。しかも年齢もほぼ一緒。とすると、7月~8月のトラブルは起こりえないと考えても良いのでは…? なんとかポジティブシンキングを保とうと頑張りつつも、美しく晴れ渡った心の空にうっすらと現れた雲を、完全に追い払うことは難しい。
眉間にしわを寄せる一同に、サヤーはエンヤンの運気をよい方向へ転がすための秘訣を教えてくれた。
キーワードは「鐘」と「魚」。鐘を事務所へ吊るし、事務所の南側で赤い魚を8匹、黒い魚を1匹飼うのがお勧めとのこと。「絶えずアップデートされ、情報が動き続けるWEBと、絶えず動き続ける魚は相性抜群」なのだと言う。これにプラスして、必要としているところへテレビを寄贈すると良いそうだ。
果たして、出来立てほやほやの情報サイト「Enjoy Yangon」の運勢やいかに? 毎月の終わりに、占いが当たっていたかどうかをFacebookにアップします。乞うご期待です!
(写真:後藤修身、文:菊池美弥、通訳:Laz)
注1:「サヤー」とは男性の先生の意味。学校の先生や、その道のプロ、目上の人、雇い主まで、尊敬する相手の、敬称や呼び名そのものとして使うことが多い。ちなみに女性の先生は「サヤーマー」
注2:ミャンマーの土着信仰。神様というよりは精霊的な存在とも言われる。代表的なナッは37神おり、家や街の中、木の下などいろいろなところに祭られている。