ヤンゴンの食、昔と今 〜 覆面座談会

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エンヤン編集部(以下、編集部):この10年間でヤンゴンの食事情がすごく変わったと思うんだけど、皆が来たころとかどうだった?

K子:私がヤンゴンに来たのは90年半ばごろなんだけど、今のパークロイヤルホテル、当時のエクアトリアルに入っていた「勘八」が思い出深いなあ。

何かあると、「『勘八』おごるからお願い!」っていうのが当時の常套句だったし、日本人スタッフもいてすごく良かったんだよ。他のインターナショナルホテル内の日本食レストランの中でも、開店時期が早かったんじゃないかな。当時としては、すごく画期的な存在だった。今や老舗の「一番館」は、確か90年代後半にできたんだよね。知り合いの知り合いが日本食やるって聞いて。

 

O美:今もおなじみの「ふるさと」も、私が来た10年位前にはもうあったから、ずいぶん古いよね。
 私は、「サムライ寿司」の登場が、食環境の変化って意味で衝撃的だったと思う。小屋みたいなところで始めてさ。06年ごろだったかなあ。ホテル以外で生もの、しかもお寿司が食べれるようになったっていう点で、エポックメーキングだった。

H子:確かに、あのときの日本人の「アーペーメー(応援する)」さはすごかったよね。ボロボロの店だったけどメニューもアドバイスしたり、なんとかつぶさないようにと皆で一生懸命だったよ。正月飾りも一緒に手作りして手伝ったりさ(笑)。ある意味、スタートさせたオーナーの銅像が出来てもいいくらいだよね。
思えば「サムライ寿司」と同じ頃だったかな、ダウンタウンに「刺身屋」って店もあったね。日本人がやってって、おいしかったよね。「串カツ亭」とかもあったよね~。

編集部:そう考えると、入れ代わり立ち代わりではあるけど、日本食はそれなりにあったんだね。ここ数年でずいぶん増えたし、ずいぶん心が満たされてきたんじゃない?

H子:そうだね。前はさ、病気の時に「『一番館』のおにぎりたべたい!」とかってくらいだったよね。最近はそこまで思うことはなくなった気がする。食材が何でも手に入るようになったからかな。

O美:心細さが無くなったんだよね。日本から遠く離れているっていう。プロマートで何でも買えるようになったし。携帯電話が持てるようになったのも大きいかな。ネットをしたくても、家に帰って電話線を抜いて、代わりにネットの線をつっこんで、それでも運が良くないとインターネットがつながらないっていう状況だったのが、今はWiFiも使えるようになったし、ネットで何でも調べられるようになったし。

K子:確かに。食が充実してきたって意味では、落ち着いて海外に出られるようになったよね。出発前に何日滞在すると何食あってって数えて、現地でも、今食べないと、これ食べないととか、当時は必死だった。

H子:昔なんてバンコクからのお土産が、ゴボウとかホウレンソウとか。

K子:バンコクの空港で買って来てもらう「バーガーキング」とか、ドーナツの「オールドファッション」とか楽しみだったよね。

H子:今やバンコクのお土産も特にいらないって感じだよね。

O美:そういえば、「ラーメン食べたい!」っていう欲求って前はすごくあったじゃない。それも、徐々になくなってきたよね。前からラーメン屋はあったんだけど、どれもちょっと惜しかったっていうか。

K子:それこそ90年代後半くらいからラーメン屋はあったんだよね。でも、移転が激しかったり、味も安定しなかったり…。

O美:それが満たされるようになったのが、

H子:「北海道」だよね

編集部:話を聞いてると、食に関してはもう文句なさそう感じだね。冷凍のキンピラゴボウから缶詰まで、日本の食材もほぼ何でも手に入るしね。

O美:でも、生鮮食品に関しては、肉とかもまだまだだよね。もっと細かい部位別に買えるようにしたいよね。もう忘れられない、スーパーで豚を買ったら乳首ついてたとりとか。食べない部位なのに、これも含めたグラムで売ってるのか、みたいな。あと毛付とか。

H子:ただ、食材がこれだけ手に入るようになってきて、それでも日本食がやたら高いのは納得いかないなぁ。これまではお店の人がわざわざバンコクまで買いに行っていたから、その分高くなるのは仕方ないとして。今は日本の出汁とかもヤンゴンで手に入るくらいになってるのに。
この間、地方に行ったら、日本人がやっている日本食屋が、美味しい上に安くて、なんでだろうって思っちゃったよ。

O美:生姜焼きセットも5,000ksもしないで出す店もあるわけじゃない。それで出せるのに、片や10,000ks近くするも店あったりとか。

H子:日本食だから高くてあたりまえってみんな思って払っちゃってる感じだよね。最近、値段を見てメニュー頼むようになったよね。

K子:あっ、確かにそれは大きく変わった点かも。昔は、値段なんて気にしないで好きなものを頼んでたのに。

H子:みんな、家賃が高いからしょうがないと思ってるのかもしれないけど、果たして本当にそうなのかなって思う時があるよ。電気代とかも上がったし、理解できる部分はあるけど、食材とかは手に入りやすくなったはずだし。

編集部:日本人経営の店も増えたし、値段に見合うだけの質の高い食べ物やサービスが受けられるようになったってわけでもないの?

K子:それがさ、この間、お寿司屋さんに行ったんだよ。そこで焼き魚頼んで、白いご飯も頼んだんだよね。で、お茶碗に盛って出てきたご飯を食べてビックリ。それが酢飯だったんだよ。

O美:酢飯はお茶碗で食べるものじゃないね…。

K子:ただの白いご飯はないのかって聞いたら、酢飯しかないって。先に言ってくれれば、焼き魚じゃない他のメニューを考えるのに、もうびっくりした。

O美:他にも、高級和食を謳ってるような店でも、古い冷凍ご飯チンしてくることもあるしね。他の日本食屋でもあることだけど、冷凍する前に、だいぶ置いておくんだろうね。臭いですぐ分かるんだよ。口に入れるとボソボソしてたりして。仏壇にお供えしたご飯みたいな。ほんと、こういう点が惜しいよね。

K子:余っちゃったのを捨てるのがもったいないって気持ちは分かるよ。だったら、いい冷凍庫買って、きちんと日にち書いてから冷凍して順番に使うとか。

H子:今の技術の電気製品を使えば、きちんと機能さえ使いこなせば、美味しい状態でご飯を冷凍して、解凍して、炊き立てみたいな状態で出すこともできるはずだよね。

O美:こういうことは、きちんとお店に伝えなきゃだよね。

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