ミャンマーの携帯電話事情~基本編(2015年6月)

ほんの2年前、2013年で携帯普及率が10%足らずと、世界の中でも最も携帯電話の普及率が低い国のひとつがミャンマーだった。そのミャンマーで去年2014年からSIMカードが1,500チャット(約166円)で買えるようになった。今まさにモバイル革命が始まったばかりのミャンマーだ。


ミャンマーではスマホが大人気

1990年代は携帯の契約が50万円もかかる時代で、ほんの一部の金持ちと政府関係者と外国人しか携帯を使ってなかった。その後、徐々には安くなったが、急激に安くなってきた2011年からだ。2011年に500ドル、2012年は200ドル、そしてついに2014年には1,500チャットになった。

1995年のヤンゴン。携帯電話の契約が5,000ドルだった。

ここ1〜2年のミャンマーの携帯電話状況は変化が激しい。1ヶ月もするとすっかり変わっていたりする。ということで、2015年6月時点での携帯電話状況を紹介したい。

通信サービス会社は3社

ミャンマーでは携帯キャリア(移動体通信サービス会社)は去年(2014年)まで国営のMPT (Myanmar Post and Telecommunication) が独占だったが、去年から ノルウェーのTelenorとカタールのOoredooが参入し一気に競争が激しくなった。3社ともSIMの値段は1,500チャットだ。 

それぞれ3社のSIMカードが入ったパッケージ

これらのSIMカードはどこでも買える。まずは、携帯電話を売っているモバイルショップだ。今や辺境地を除いてミャンマーいたるところにモバイルショップがある。また、ヤンゴンでは路上の露店でも売っている。当初、SIMカードを買うときには身分証明書(外国人だとパスポートと写真)が必要だったが、今では何も見せなくてもいい。いつの間にか、SIMカードは日本よりもずっと安くずっと自由に買えるようになった。

ヤンゴンのダウンタウンでは露店のSIMカード売りにたくさん出会える

SIMロックと通信方式にご注意

SIMカードを購入したらまず携帯電話に挿入する。ここで、日本から持ってきた携帯を使う人は注意が必要だ。ミャンマーに限ったことではないが、日本の携帯を海外で使う場合はSIMフリーとかSIMロックフリーなどと呼ばれている携帯でないと使えない。ドコモの場合だとドコモショップに持って行くと有償でSIMロックを外してくれるが、AUやソフトバンクの場合は難しい。このSIMロックは日本でも問題になっているようで、2015年5月以降新規購入したスマホは180日以上使用後は無料でSIMロックを外してもらえるようになった

また、1500チャットSIMはいずれもGSM/W-CDMA方式だ。日本のAUはCDMA方式なので、1500チャットSIMを使えない機種が多いので注意が必要だ。

ミャンマーで売っている携帯は全てSIMロックフリーなのでどれを買ってもだいじょうぶだ。これについても日本よりずっと進んでいる。また、MPTの古い規格にCDMA方式が残っている。このCDMAに対応する一部の中国機種も売られている。購入前に、GSM/W-CDMA方式かどうか確認が必要だ。

購入したSIMカードを携帯に挿入して一度どこかに電話をすると、それがSIMカードのアクティベーションになる。アクティベーション後は普通に使える。SIMカードをiPadなどのタブレットやモバイルルーターなど電話機能のない機器に使用する場合は注意が必要。これらの機器に入れる前に携帯電話に挿入してどこかに電話するというアクティベーションを忘れないよう。これをしないとネットも使えない。

また、アクティベーションをしたSIMカードを初めての携帯に挿入した場合、データ通信の設定ファイルが自動でダウンロードされ、SIMカードの会社からメッセージが来る。その設定ファイルをタップして実行すればデータ通信のAPN設定などが自動で行われる。タブレットやモバイルルーターの場合、APN設定は手動で行うことになる。ちなみに、MPTのAPNは "mptnet"、TelenorとOoredooは "internet" になる。

SIMカードをスマホに挿入 

料金はプリペードカードで

料金はプリペードカードによる支払いが基本になっている。各社、1,000チャット, 3,000チャット, 5,000チャット, 10,000チャットなどのカードを売っている。カードの裏はスクラッチになっていて、それを削ると数字が出てくる。たとえば、数字が 11 2222 3333 4444 5555 だとすると、通話番号で *123*112222333344445555# と入力して通話ボタンを押す。これで料金を入力できる。 

プリペードカード裏側のスクラッチを削ると番号が出てくる 

中国スマホにはご注意を

ヤンゴンならそこら中にあるモバイルショップではスマホがたくさん売られている。何しろ、ミャンマーのスマホ率は日本よりずっと高い。90%以上はあるのではないか。モバイルショップではいろいろなスマホが売られていて、どの機種を買っても電話はできるしネットも可能だ。ただミャンマーの特殊事情で注意しなければいけないことがある。それは中国メーカーのスマホだ。

ミャンマーでは中国メーカーのスマホ、特にファーウェイ(華為, Huawei)が「ある理由」(注1)により非常にシェアが高い。でも、これらの中国スマホを買うときには注意しなければいけない。何と、Androidスマホなのに Google Maps や Google Play などのグーグルの標準サービスが使えないスマホが多いのだ。

Google Maps も Google Play も使えないファーウェイ(Huawei)のスマホ

ミャンマーで売られている低価格の中国メーカースマホはその多くが中国国内で売っているものをそのまま売っているからだ。中国国内では情報統制のためGoogle Maps や Google Play がスマホの中に入ってないし、後でインストールするのも非常に困難だ。ただ、中国スマホでも中価格以上の機種だと日本やタイなどの海外で売っているインターナショナル版が一部入ってきている。これらのインターナショナル版中国スマホだとだいじょうぶだ。もし中国スマホを買うなら、Google Maps や Google Play がインストールされているかどうか確認が必要だ。

Google Maps はヤンゴンではなくてはならないものだ。ヤンゴンの地図はかなり詳しく正確なので(注2)、これさえあればどこでも行けるし、タクシーの運転手に道を教えることもできる。Google Play はAndroid スマホにアプリをインストールするためのもので、これが入ってないとアプリの追加が難しくなる。このふたつのアプリはAndroidスマホには必須のものだ。 

ミャンマー生活では必須のGoogle Mapsだが、カタカナ表記はめちゃくちゃ。
たとえば、アノーヤター・ロードがアナウラサ・ロードになっている。

ということで、中国メーカーのスマホを買う場合は中国国内版かインターナショナル版かを確認しなければいけない。間違って中国国内版のスマホを買ってしまったら後で大いに後悔することになるのでご注意を。

(写真・文:後藤 修身)


注1)
国営のMPTの通信方式はGSM, W-CDMA 以外に CDMA800とCDMA450という方式がある。これは中国が国内で使っていた中古の通信設備をミャンマーに売り込んだものだ。CDMA自体が国際的にマイナーな規格な上に、CDMA450になるとよりマイナーな規格だ。これらのCDMAに対応して低価格の機種というと、実質上中国国内向けの中国製しかなかった。それに、ミャンマーの地方の多くはこのCDMA方式、特にCDMA450が多く、ヤンゴンでもCDMA方式がかなりのシェアがあった。こうした背景があり中国国内版のファーウェイがミャンマー国内で一気にシェアを伸ばした。GSM, W-CDMAの時代になった今でも、中国メーカーの低価格帯のスマホでは中国国内版がほとんどだ。

注2)
Google Maps で表示される地名や道路名などの固有名詞のカタカナ表記はめちゃくちゃなので、注意が必要だ。このカタカナ表記、ローマ字化されたビルマ語(ミャンマー語)から自動でカタカナ変換したのが原因だと思われる。ビルマ語のローマ字表記の法則と日本語のローマ字表記の法則がかなり違うのにそれを考慮せず自動変換したためだ。これだったら、カタカナ化などするよりローマ字のままのほうがずっといいのだが・・・。