高野秀行のミャンマーお悩み相談

ミャンマー関係の素晴らしい本を3冊も書いている作家、高野秀行氏がミャンマー人、ミャンマーに住む人たちの悩みに回答します。こちらは高野さんのブログ

【高野秀行のミャンマーお悩み相談】彼のお母さんを説得したいんです(追加 2016/5/26)

私:Ma Myint Myint(マ・ミンミン)、28才、美容関係の仕事
彼:36才、警備会社勤務

5d2 20120928 008私には結婚の約束をした彼がいます。でも、彼のお母さんとうまくいってません。

彼と出会ったのは私が19歳、田舎の町で塾に通っていたときです。その塾の先生の息子が彼です。出会って1年後から付き合い始めました。付き合い始めて3年間は彼のお母さんにはないしょでしたが、私たちのことがわかった後でも、反対はされませんでした。

そうそう、私も彼も父が亡くなって母だけです。彼は5人兄弟の末っ子、私は3人兄妹の長女です。

今、私はヤンゴンで美容関係の仕事をしています。彼はネピドーで警備会社勤務なので遠距離恋愛ですが、二人の間はうまくやってます。会うのは3ヶ月に一度程度ですが、電話は毎日しています。彼のお母さんが私達の付き合いに反対するようになったのは、1年ほど前からです。

シンガポールに出稼ぎに行きなさいとか、盲腸で一度お腹を切っているので子どもを産めないだろうとか言われました。その頃、ちょうど彼が会社の中でいいポジションについた時でした。もともと、私の家よりも彼の家のほうが裕福なんですが、息子の昇進が反対する引き金になったようです。自分の息子には私は不釣り合いな女性だと見られてしまいました。

彼はその話を聞きすぐにヤンゴンにやって来て、駆け落ちしようと言ってくれました。でも、お母さんが反対したまま結婚するのはよくない、お母さんを説得して結婚したほうがいいと私は思い、駆け落ちはしませんでた。そして今年2月、婚約の報告も兼ねて私の母と彼の母を引き合わせました。

そんな席なのに、彼のお母さんが私のお母さんに罵詈雑言を言ったのです。私のお母さんもブチ切れてしまいました。今まで結婚に賛成だった私のお母さんも、彼との結婚は許さない、1年間猶予をあげるから他の男性を探しなさい。見つけられないなら私の決めた人と結婚しなさい、と言い始めました。

なので、今ではお母さんから私に電話がかかってきも電話には出ないようにしてます。彼もお母さんと絶縁状態です。でも、彼の兄弟姉妹は結婚には賛成してくれてます。

私はみんなから祝福されるのが本当の結婚だと思ってます。それに、私たちにとってお母さんはたった一人の親です。お母さんたちをどうしても説得したいんです。どうしたらいいでしょうか。


takano 02 150高野秀行から回答

これはもう駆け落ちしかありませんね。あなたのお母さんも彼のお母さんも、両方とも説得できそうにないですから。

説得しようとすると、ますますお母さんは怒ることでしょう。というのは、「お願い」している時点で、あなたよりお母さんの方が立場が 「上」だからです。子供の人生を決めるのは私だとなおさら強く思うようになり ます。

でも、もし駆け落ちをしたら、お母さんはあなたに戻ってきてほしいと思い、そうお願いするでしょう。こうなると、今度はあなたの方が立場が「上」にな り、お母さんに話を聞いてもらえることができるでしょう。

親を相手に立場が上とか下とか言うのはイヤだなと思うかもしれません。では、「学習」と言ってみましょうか。

私は大学生のとき、アフリカのジャングルに長期間旅行に行くと言ったら、母親が「死んでも行かせない」と怒ったものです。もちろん、無視して行きまし た。本当に行きたかったからです。その後もずっと、アフリカや南米に行くなとか、会社に就職しろとか強く意見 し、10年くらいずっと険悪な状態でした。母の気持ちは今はわかります。本当に心配だったのでしょう。子供が「よくない 人生を歩んでいる」と思ったら、「絶対に止めなければいけない」と親は思うも のです。

でも、うちの母は10年ぐらいすると、何も言わなくなりました。理由は特にありません。私が30歳を過ぎて子供でもなくなったこともあるでしょ うし、もっと大きい理由は、「学習した」んだと思います。私がアフリカに行こうが、会社に就職せず、フリーランスで物書きをやっていよ うが、別に問題なく生活できるし、私が幸せそうに暮らしていることを学んだん ですよ。それから今に至るまで、母とはとても良い関係を維持しています。

私は今年、50歳ですが、人間はいくつになっても大して賢くならないものだと実 感しています。周りの同世代の人たちを見てもそうです。でも、言い換えれば、何歳になっても学習し成長するものなのです。

ミンミンさん、一般的に、親は自分の子供の結婚相手やその家族をなかなか好き になれないものなんです。子供を獲られるようなもんですから。しかも家によって習慣や考え方がちがう。だから、ミンミンさんのようなケースも別に珍しくありません。とくにいった ん、感情的になると、修復は難しくなります。

なので、いったん、駆け落ちしましょう。連絡を絶ち、姿を隠して、しばらく様子を見ましょう。そして、お母さんの方から「会って話がしたい」というのを待ちましょう。
お母さんはきっと「ミンミンの人生はミンミンが決めるのはしかたない」「ミン ミンが幸せならそれでよい」と学ぶことと思います。お母さんにとってもいいことでしょう。

その方が「みんなから祝福されて結婚したい」というあなたの希望が叶えられる 可能性が高いですよ。


 2016/5/26追加

マ・ミンミンから

彼と話し合い、駆け落ちをすることにしました。

私はヤンゴン、彼はネピドーで仕事をしているので、結婚してもしばらくは別々に住もうと考えました。でも、結婚したのに最初から別々に住むのはよくありません。私が彼が住むネピドーへ行くことにしました。これから雨季になるので、雨季があけたら駆け落ちして結婚します。ミャンマーでは雨季の間に結婚をすることができないからです。

このことは私が働いている店のオーナーに話をしただけで、他には誰にも話をしていません。私の親にも彼の親にも内緒です。ただ、私がヤンゴンからいなくなると、今まで良くしてもらった店に迷惑をかけてしまいます。結婚する前の雨季の間に、後輩ができるだけ一人前になるよう仕事を教えようと思います。

相談にのっていただき、ありがとうございました。